違う、俺にもお前だけだった
そう、あの時離れていくアイツに言えればよかった
妙な意地だけが先行して、本心は闇の中
一番大切なものは無くなってから気付くだなんて、どこかのなんとかってヤツが言っていた
その通りなんだと気付くのは、俺が大切なモンってヤツを失ったから
俺の前で泣くまいと気丈に振舞うアイツの眼から、最後に零れ落ちた涙
心も体も、汚れきっちまったオレには分からないくらいキレイなお前から零れた涙はやっぱりキレイで
不安定なその美しさを抱きしめてやる事も出来なくて
アイツは俺の元から去っていった
心の中にポッカリと空いた穴を埋める術なんて、知るわけもない
だからオレは、アイツ以外の女を狂ったように抱いた
何度も何度も何度も――――
でもそんな濁った快楽なんかで、アイツを忘れられる事なんて出来なくて
名も知らねぇ女の白い足を見るたびに、アイツの白い足に刻まれた蝶のタトゥーを繰り返し思い出す
もう一度抱きたいと願っても
それはもう俺の元には無いんだ
そう、自覚させられる事象から眼を背けるように
ひたすらに喘ぐ俺の下の女を
アイツではない女を、撃ち殺した
さよならオレのアゲハ蝶
誰コレ、何コレ、意味分からん←