貴方の短所をあげるなら、多すぎて数え切れないわ


自分勝手なところ

短気な所

独占欲が強すぎる所 

女遊びが酷かった所 その他エトセトラ



長所を上げるならば、そうね

私にだけ優しかった事かしら




それでも、私は貴方を愛してたわよ?

大好きだった




それでも、もう貴方と一緒にはいられないの

だって







「一緒にいれば、いる程辛いのよ」





それだけの言葉をやっと紡ぎだすと、私の目の前の男、ザンザスは眉を顰める

普段から機嫌の悪そうな顔をしているから、余計に機嫌が悪そうに見える


でも、私の気のせいでなければ

そのときの彼の顔はどこか悲しげにも見えた






「だって、貴方は私のことなんて見てくれていないでしょう?」





そう紅い双眸を真っ直ぐ見つめて尋ねても、ザンザスは何も言わない

何も言ってくれないと言う事は、私の言葉を肯定していると受け取っても、いいのよね?



思うと私の眼からは涙が零れ落ちる

泣くつもりは無かったのに

最後にこんなみっともない姿見せる気はなかったのに





「さようなら

 想い続けていたのは、私だけだったのね」





零れ落ちる涙を拭わぬまま、ザンザスの双眸を見据えたままの私は

自分でも驚くほど冷静な声でそう告げ

踵を返して部屋から出た








長所も短所も全て含んだ貴方を 全部、全部、愛してた


(でも、それは、私だけだったのね?)



(違う、オレにもお前だけだった)