コスプレの恐怖
「で、これはどういうことさ?」
目の前で満面の笑みを湛えながらメイド服を携えている男達に向かって私は言う
笑顔とともに異様なオーラを放っている彼らに、恐怖というよりも寒気を感じた
「何って、今回めでたく企画でコスプレが1位を獲得しまして「そういう裏事情はいいから」
にメイド服を着ていただこうかと」
「くたばれ」
メキョッ
「グフッ・・・!!」
にこやかな笑顔で言う骸の顔面にチョップを喰らわせ、踵を返した
後ろで慌てて叫ぶ男達の声が聞こえたりするが、そんなの気にしない
むしろこのままだと私がいろいろと大切なものをなくす気がする
感じる身の危険から足早にその場を去ろうとすると、ふいに腕をがしぃっと掴まれた
「!?」
「くっふっふっ・・・逃がしませんよ」
「ぎゃー!!ナッポー復活した!!
早い!早いよお前!」
「にこのメイド服着てもらうまでは返しません」
いいながら骸はすっと立ち上がると、私を見ながらメイド服片手に拳握り締め熱く語りだす
背後に炎滾ってる辺りで彼がいかに熱く語っているのかを察して欲しい
「今回めでたくコスプレが1位を取ったんですよ!?
これは、またとないチャンスなんです!!」
「いらん、そんなチャンス!やたらと今回執念深いな
お前が着ればいいだろうが!!」
「別に僕が着てもいいですが「いいのかよ」それじゃあ全く萌えませんし
それにこれはヒロインがコスプレしなければ意味がないんですよ」
「私ヒロイン辞めます」
「それは出来ません
貴方はこれからの連載の展開ぶっ壊す気ですか」
「知るかァアアア!!知らん、んな事情!!プライド捨ててまで着るか!!」
「、往生際が悪ィぞ」
「リボーン・・・」
「おや、アルコバレーノ」
骸の手から逃げ出そうと必死な私の元に、リボーンがやってきた
そしてニヤリといつもの何か企んだような笑みを私に向ける
「、一つ言わせて貰うけどな
お前がヒロインを止めるって事は、京子達とも会えなくなるってことだぞ」
「!!!」
リボーンの一言に、背後に稲妻走らせショックからへたりこむ私
「そんな・・・京子達に会えないなんて・・・」
「ご丁寧に背後に稲妻まで立てて
そんなにショックですか」
「死活問題よ」
骸の言葉にきっぱりと返す
だって・・・だって京子達に会えないなんてっ・・・
「それとな、京子達からの伝言だが
『今日は見に行けないけど、のメイド服楽しみにしてるね。頑張ってね by京子』
『ちゃんメイド服絶対似合うと思います!ハルはテストが近くて行けませんけど、ぜひ今度着てくださいね! by ハル』
とのことだ」
「うおっしゃあ!!着る!メイド服着る!」
「すごい変わり身だね」
「大丈夫なのかアイツ」
「お黙り外野!」
リボーンの言葉に私は立ち上がり、骸の手からメイド服を掻っ攫う
私と骸の言葉の攻防戦に最早エキストラと化していたツナ達を
メイド服抱えた腕とは反対の手でずびしっと指指してから、私は拳を握り締め語りだす
「私が何のために並中にいると思っているの!?
何のために風紀委員やってると思っているの!?
全て京子達を悪漢から守るためよ!
京子達に手を出そうものなら有無言わさず風紀の腕章掲げてシバキ倒してやったわ」
「最近群れるやつ少ないと思ったらが片付けてたんだね」
「っていうか職権乱用だよ!!」
ツナと恭弥の言葉も軽くスルーしてそのまま続ける
「京子達を拝めなくなるなら、変態たちにだって負けないわ
私ヒロイン続ける」
「あれ、なんで変態で僕を見るんですか?ちょっと!目を逸らさないで!
僕の目を!目を見てください!!」
叫ぶ骸も華麗にシカトし続ける
「京子とハルに励まされたのよ!?
メイド服だろうがなんだろうが、華麗に着こなしてやろうじゃないの
恥とプライドかなぐり捨てて!」
「ちょっと、キャラ壊れてるよ
っていうか、多分それどっちも捨てちゃダメだと思うんだけど
さっきプライド捨ててまで着ないって言ってた気がするんだけど」
「京子達の前ではプライドなんてあってないようなものだよ」
うあ、言い切った
若干引き気味なツナ達だったが、が自らメイド服を着るとの事で余計なことは言わない
とりあえずうまくを乗せたリボーンに賞賛の言葉を送りつつ、着替えに行ったの帰りを待った。
―10分後―
「(存外に可愛い・・・)」
メイドの衣装が以外にかわいいことに驚きつつも、私は衣裳部屋を後にする
骸から衣装を掻っ攫った時には気付かなかったが、ご丁寧に猫耳までヘッドドレスに装着してあったから驚きだ
仕方無しに、それを着けてツナ達が待つ部屋へと向かう
部屋の前まで異様な雰囲気漂っていることに開けることを躊躇ったが、意を決して扉を開けた
「着替え終わったよー」
「あ、お帰り・・・・っ」
一番最初に私の帰還に気づいたツナが
振り向いて私を見た瞬間に倒れる
「ちょっ、ツナー!!」
「10代目ー!!
って、・・・お前その格好・・・!!」
ツナを心配して駆け寄ってきた隼人も私の姿を目に止めるなり、顔を真っ赤にした
え、何でよ?どうしよう、着替えてこようか
私が激しく内部葛藤繰り広げていると、サイドから変態が沸いて出た
「クハハハハハッ!!!!やっぱり似合ってますよっ!!」
「ぎゃああああああっ!!変態沸いて出た!!」
「僕の目に狂いはありませんでしたね
さあ、今宵は僕と床を共にしましょう!
大丈夫、痛いのは最初だけです!優しくしますから!!」
「何の話だァァアアアアア!!
しない!するか!してたまるか!!
小説の年齢層考えろ変態パイナポーがっ!!」
「ぐふっ・・!!」
高笑い上げつつ近寄ってきた変態に、恐怖を覚えたものの
培ってきた防衛本能と戦闘スキルが炸裂し、メイド服だということもお構い無しの真空回し蹴りが変態の顔面を捉えた
そのままキレイに弧を描いて飛ぶ変態に覚めた視線を送ると、私は倒れたツナへと近寄る
「大丈夫、ツナ?」
「だ・・・大丈夫・・・
っていうかその格好さ・・・」
「ん?」
「多分着替えた方がいいと思うよ・・・
その・・・いろいろと危ないというか・・・」
「着ろっていったのはツナ達じゃん
なに?何が危ないのさ?」
俺たちの理性がだよ
と、ツナたちは声を揃えて言いたかったが、口には出さない
今、が至近距離にいるツナはそれを必死に耐えている
「いや・・・その・・・・」
「?」
「だから!10代目はその服を今すぐ脱げって言ってんだ!!」
「ちょっ、獄寺くん!?」
今すぐ脱げってここでか?!
顔を真っ赤にした隼人の叫びに驚く私とツナ
そんなことなどお構いなしな様子の隼人は
そのまま私の装備したヘッドドレスのネコ耳に手を伸ばす
そして、隼人の頭にバットとトンファーが飛来する!
ゴッ
「隼人ー!!!」
「獄寺くんー!!」
「何?君、いきなり脱げって
を脱がしていいのは僕だけだよ」
「ハハッ
獄寺、抜け駆けはよくねーぜ」
山本、目が、目が笑ってないよ
マジで怖いんだけど
つか、恭弥。
今聞き捨てならないセリフが
私の突っ込みままならないウチに、2大凶器の飛来により意識飛ばし
頭にでかいタンコブこさえた隼人を山本が邪魔だと言わんばかりに隼人を投げ捨てた
「大丈夫か?」
「う・・・うん・・」
・・・・・・
数秒の間をおいて山本と雲雀は地に膝着けて揃って口元を押さえ私から顔を背けた
何で!?何故?!私がこれ着てるとそんなに殺傷能力あるの!? (ある意味あります
は、皆の様子にメイド服を着替えてこようと立ち上がる
「どこいくんだ?」
「いや、ちょっとメイド服を着替えてこようと思っ・・・・」
ドカッ!
突然乱暴に開けられた扉へ、一斉に視線が向けられる
「う゛お゛ぉい!!がここにいるってのは本当かぁ!?」
「あ、スクアーロ」
「お、じゃねぇか・・・っ!?」
現れたスクアーロは、私の姿を目に止めるなり足を止める
心なしか顔も赤い
「邪魔だ、カス」
「うぐっ!!」
「ししし、ー王子が遊びに来たよ♪」
「ザンザス!ベル!」
スクアーロを蹴り倒し次々と現れるヴァリアーの面々
まずいタイミングと、自分の格好を交互に見て硬直する
そして、同様にの格好を見たヴァリアーメンバーも硬直した
「ししし、なんつー格好してんの?
王子誘ってんの?」
「違うから
っていうか、何でヴァリアーがいるの?」
「んー?なんかコスプレが堂々1位だとかなんとか意味分かんねー報告上がっててさ
関連だったしヒマだったからボスたちと来たワケ。あ、ちなみにルッスーリアとマーモンは任務で来てないから」
お前たちにも報告が行ったのか
ヴァリアーにまで報告が行くなんて一体誰の陰謀だと、先ほど私が伸したパイナップルを思い浮かべる
あれならやりそうだな
と、思った次の瞬間何ものかにぽんと肩を叩かれた
「がせっかく僕に思いを馳せてくれた所悪いのですが、僕じゃありませんよ」
「あぎゃああああっ!!変態ナップル復活しちょる!
馳せてねーよ!!ってか・・え?骸がやったんじゃないの?」
「違いますよ。
何が嬉しくてマフィア風情にのコスプレ情報公開しなければならないんですか」
何が悲しくて私はコスプレ情報公開されたんですか。
胸を張って言い切る骸を張り倒したい衝動に駆られるが、それを押しとどめてベルに向き直る
「報告って・・・誰からか知らないの?
「あー確か・・・」
ベルが言いかけたところでぞくりと悪寒のようなものが背筋を駆け抜けた
ちらりと、視線を横に滑らせると今度は別の黒い変態が沸いていた
「うおおおおっ!!!
猫耳メイド服なんて俺の趣味をどこまで心得ているんだ!!
がコスプレというのはガセじゃなかったんだな!!
今度は俺のこのゴスロリメイド服にもぜひ袖を通してくれっ!!」
「あー・・・確かアイツ」
アレか。アレがヴァリアーに報告したのか
鼻息荒く迫ってくる様子は本当に怖いです
今回は追加効果で鼻血まで垂らしているからおぞましさがUp
嫌なパラメーター追加で飛来した黒い変態に私は叫んだ
「ぎゃああああっ!!今度は黒い変態沸いて出た!!
私の趣味じゃない!断じて違う!!
お前の趣味なんて知るかァァァァアアア!!誰が着るか変態!!
てめぇか、ヴァリアーに報告なんてしやがったのは!!
つか、鼻血たらしながら迫ってくんじゃねー!!」
「ふべらっ!!」
息を荒くして迫ってくる変態(レヴィ)の顔面にシャイニングウィザードをめり込ませる
奇声を上げて吹き飛ぶ変態
技を決めて地面に降り立ち、レヴィを骸の時と同様に沈めたかと確認すると
驚いたことにレヴィは生きている (殺す気だった
ゴキブリ並みの生命力に驚いていた所、むくりと起き上がったレヴィは鼻血をたらしながら息荒くおぞましくもこう、告った
「・・・お前のその細い足から繰り出される荒業が俺への愛を物語っているのは知っている・・・
さぁ、!俺を好きなだけ蹴ってくれ!!」
「うわあああああああっ!!!キモイよ!
愛語ってねぇ!!
やばい、コイツMだったのか!?妄想癖+ドMって最強コラボじゃねぇ!?」
痛みが快楽へとクラスチェンジ遂げたらしいレヴィは両腕広げて私に迫る
いろいろと恐怖刷り込まれ恐れ戦く私
このままだといろいろと危ない!処女は守らなくては!!
覚悟を決めた私はレヴィに向き直り、今度こそ殺る気拳を握る
すると、そんな私を庇うようにして複数の影が躍り出た
刺さるナイフに飛ぶバット
唸るトンファー、弾けるダイナマイト
猛々しい炎、煌くトライデント
飛来する衝撃波、めりこむ銃弾
「ぎゃああああああああ!!」
各々の武器全てがレヴィを捕らえ、恐ろしいくらいの絶叫を響かせる
容赦ない武器の一撃一撃が、彼らが本気と書いてマジだったことを物語っていた
一瞬で起こった壮絶な地獄絵図に文字通り言葉を失くした私
っていうか、山本お前バット投げただろ
本当に野球が好きなのかお前は。
ぷすぷすといい感じに焼けて所々重症なレヴィは痙攣なぞ起こしながら地面に横たわっている
リング戦でもありえなかった壮絶な光景の後だというのに、レヴィを始末した方々は清々しい笑顔を浮かべていた
怖い、怖いよ皆
あ然とする私に、遠巻きで見ていたハズのザンザスが近寄ってきて、羽織っていたコートを私に掛ける
「ザンザス?」
「(目に毒だな)・・・お前
着替えて来い」
「うん・・・・」
ザンザスのコートを羽織り、私は戦場と化した部屋を後にした
そして、決めた
もう絶対にコスプレなんてしないと
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
1周年企画でヘボイのしか書けなくてすみません。
つか、微妙にボス落ち? (聞くな