Princess&Prince









「なぁー、お前ってさぁなんか欲しいものとか無いわけ?」






ヴァリアー部隊の本部の一室。

今日は仕事も無いので、大人しく部屋で本を読んでいると
突然やってきたベルに、唐突にそんなことを聞かれた





「はぁ?何言ってるの?」






「なんか無いわけ?」






「いや・・・いきなり言われても・・・」





わかんないよ



欲しいものなんて、大抵はヴァリアーの仕事でもらえる給料で買えてしまったし

別にブランド物のバッグや時計が欲しいって訳でもない


ベルと私の間柄を説明すると、恋人同士という意外な関係にある


でも、今日は記念日でもないし、どちらかの誕生日というわけでもない


突然のベルの行動に戸惑う私






「俺王子だから、お前の欲しいものくらいなんでも買ってやれるよ」






ベルにそういわれ、むっとする

ベルは一応王子だから、確かにお金持ちだ

でも、必死に自分で仕事して買ったものをカンタンに買われてしまうのは気分のいいもんじゃない

しかも、ちょっとバカにされたような気もする






「なー、なんかねーの?」






尚も私の欲しいものを聞いてくるベルに少々嫌気が差しつつも、欲しいもの何かあっただろうか?と思案する


数秒の後、考えた末に答えを導き出しベルに向き直る







「なんでもいいの?」







「お、なんか欲しいものあったんだ

 何?別に何でもいいよ。だって俺王子だもん」







いつものセリフをいいながら、シシシと笑うベル


そんなベルを見ながら、読んでいた本を閉じ微笑みながら言う






「じゃあ、私ベルと一緒にいられる時間が欲しい」







ベルはそれを聞くといつもの何かたくらんでるような笑みじゃなくて、優しい笑みを浮かべて言った







「お安い御用だね。お姫様」