ストーカーに制裁を
「うぉ〜い、支部長。解析終わったよ・・・って」
解析終了済みの書類を片手に、支部長の部屋へと向かう。
部屋へ入ってみればソコには、アルバム片手になにやらにやにやしている我らがアジア部支部長バク・チャン
怪しさ全開すぎて言葉を失う私
「何してんですか・・・?」
「はっ!!」
とようやく紡ぎだした言葉に、支部長はようやく私の存在に気づいたようで
オーバーリアクションなまでに驚いてアルバムを『バタン』と音を立て思い切り閉じる
「そんな・・・驚かなくたって。今さらじゃないですか。支部長の、リナリーのストーカー行為なんて」
「失礼なっ!!これは断じてストーカーじゃない!!
リナリーさんへの愛ゆえにその美しさをいつまでも残しておきたいとの心からの行為だっ!!」
それをストーカーっていうんだよ
という言葉をぐっと喉の奥へと閉じ込め、書類を支部長の机の上に置く。
ふと、机の上に先日までは見なかった機械を見つけ不思議に思っていると私の視線を目ざとく感知した支部長がばっ、と物凄い勢いでその機械を取り上げ私に背を向け庇うようにした
「何、あせってんですか支部長」
「これはやらん!断じてやらん!!」
「いや、全然欲しくないです。で、なんなんですかソレ?」
何を勘違いしたのか、いきなり吠え出す支部長
誰がそんな用途の分からない、不可思議な機械欲しがりますか
私が欲しくないと言ったことに安心したのか、ほっとした様子でくるりと向き直ると
今度はえらそうに、高らかにその機械を掲げまたもや吼え始める
「ふっ、聞くがいい!この俺様の天才的な発明をっ!!」
「分かりました、分かりましたから、ちょっと冷静になって説明してください」
「いいか、よく聞けよ。これはだな、俺様が仕事の時間を割きに割いて作り上げた「おいコラ、仕事はちゃんとしろよ」超小型高性能キャメラだ!!」
私のつっこみも華麗にシカトし高らかに叫ぶ支部長
てめ、最近妙に仕事の進みが遅いなと思ったらテメェのせいか(怒
「支部長、分かりました。さっさと仕事してください」
「これで、リナリーさんの麗しい姿がより鮮明にっっっ!!!!」
人の話を聞け
カメラ頭上に掲げたまま鼻息荒く語り続ける支部長に、そろそろ呆れ以外のなにかがこみ上げてきます
「支部長仕事を」
「あぁっ!麗しのリナリーさんっ!!!」
ぶちっ
あいも変わらず暑苦しく語り続ける支部長に、堪忍袋の緒が猛々しく引きちぎれリミットブレイク引き起こした私は
強行手段に躍り出る事に
「支部長、私その支部長の素晴しい発明ちゃんと見てみたいです。是非見せてください」
「ん?俺様の素晴しい発明が見たいって?いいぞ、ドンドン見ろっ!!」
私から漂う殺気にも気づかず、素晴しいという発言に気をよくした室長が快くカメラを差し出す
テメェ、中間管理職の恨みを喰らえ (怖っ
「ありがとうございますv・・・あっ・・・」
ガシャン
バキィッ
「ギャアアアアアアッ!!!」
何が起きたのか順を追って説明すると
まず支部長からカメラを受け取ろうとした所でカメラを取り落とし
それを拾おうとした所、偶然躓きカメラを踏みつけてしまったというわけだ
えぇ、本当に偶然ですよ
たとえカメラをヒールのかかとで踏み潰していても (黒笑
そして、その光景を見て断末魔ともいえそうな悲鳴を上げる支部長バク・チャン
もはやカメラは、カメラではなく鉄くずです
「ッ!貴様、俺様の傑作になんて事をっ!!!」
「ストーカー用の道具なんてなくなったほうが幸せです」
「ストーカーではないと言ってるだろうがっ!!」
「リナリーの姿を気づかれないように写真に収め、ソレ見つつ悦るのがストーカーじゃないと?
胸を張っていえるのなら、私はソレをコムイ室長に告発しましょう」(死の宣告
「そっ・・・それはっ・・・」
「いいからさっさと仕事しろ」
「はい・・・・」
私が殺気を込めて支部長を見下ろすと、支部長は顔を青ざめさせながら静かに頷いた
その時、支部長は私の後ろに巨大な鎌を持った死神が見えたというが
気のせいだろう ぇ
終われ