の証

 




「分かってる・・・あぁ、大丈夫だ」








「何話してんの?ゼロス」








気配もなく部屋に入ってきた人物に、ゼロスはびくっと肩を震わせながらも
相手との回線を切り、何事もなかったかのように振舞う










「おぉ!ちゃーん!なになに?俺様ダレとも話してなんかないぜ
 ちゃんから俺の部屋に来てくれるなんて、やっと俺様の魅力に気づいた?」








「ふーん・・・そ。ならいいけど。
 残念だね、ゼロスの魅力とやらに私が気づく日は来ないと思うよ」








「酷ッ!」









いつにもましてふざけて振舞うゼロスをは一瞥すると、ツカツカとゼロスに歩み寄る
そしてそのままずいっと顔を近づけるとゼロスに言った








「他のヤツらは分からないが、私にウソをつけると思ってるのか?」







「!!」







「浅いな。お前の薄っぺらな演技なんて丸見えだ」







ゼロスから顔を離し、少しはなれたところにあるゼロスのベットに腰を下ろすと
足を組んで口元に笑みを湛えそう言った
いつもとは違うの雰囲気に、少しながらもゼロスは気圧される







「ふーん・・・俺様には何のことだか分からないけどな」






「まだシラを切るか・・・まぁいいがな。
 私はお前がいなくなろうとどうしようと関係ないし」








「随分冷たいじゃないんじゃないの?」







「お前が私にそういう態度をとるのなら、普通の対応だろう?
 仲間を敵に売るような男にそんなコト言われたくないね」








「なっ!俺はっ!!」








「違うって言うのか?」








怒りを表面に出したゼロスに、冷たい視線を浴びせる
口元には薄い笑みを貼り付けたままだ






「自分の身を安全な場所に置く為、自分を仲間だといってくれた人間を売り物にする・・・
 どう違うって言うんだ?」








のセリフにゼロスは完璧に言葉を失う


だってそう、事実だから


ゼロスの拳はへの怒りからか、強く握られ小刻みに震えていた







「私が憎いか?」







そう言いながらはベットから立ち上がる
重みをなくしたベットはキシと音を立てた








「少しでも私が憎いと思うなら、その思いを心に閉まっておけ。
 
 いつでも私を殺しに来い。お前になら殺されてやる」







ゼロスの横を通り過ぎ、ドアの辺りで振り返り言う
の言葉を聞いたゼロスは驚きから目を見開いていた








「だから、お前を殺すのは私だ。勝手に死ぬなんて許さない」









パタンとドアを閉めは出て行った





残されたゼロスは、髪をかき上げの最後に残していった言葉を思い出す






「勝手に死ぬなんて許さないか・・・言ってくれるじゃないのちゃん」






くっと笑いをのどの奥で噛み殺し、呟く






「何もかも読まれちゃってんのな〜・・・俺様どうすりゃいいのよ?」






噛み殺しきれなかった笑いは、声ではなく表情に出た
顔が若干ニヤつくのが分かる







「これじゃあ・・・裏切るなんて絶対出来ないよな」













心に刻んだのは憎しみではなく

 彼女への
想い