雨の守護者










日も沈みきった夜

辺りは暗く、朝から降りしきる雨の音が周囲には静かに響いていた



そんな中、傘もささずに佇んでいる少女がいた

振り続ける雨粒を、その体で受け止める

雨を受け入れるように天を仰いだ顔には、雨粒が涙のように伝っていた







「傘も差さないで何やってんだ

 風邪引くぜ」





「武・・・」





ぱしゃり、と水溜りに脚を踏み入れながら山本は少女−に向かって言う

すると、彼女は首だけをコチラに向けて小さく山本の名を呟いた


振り向いたに傘を片手に近寄ると、は山本から距離を置くように一歩身を引く

そんなの様子を訝しむように山本は尋ねた





「・・・、どうした?」




「なんでもない・・・」




「なんでもないワケないだろ

 ・・・今日は・・・任務だったのか?」





山本の問いに、の肩がびくっと震える

どうやら図星だったらしい。


マフィアなんて職業についているから、人を殺すのが仕事にだってなってくる

もちろん、もマフィアであるが故どうしても人を殺さなくてはいけない時があるのだ

仕方ない。そういう世界だ

そう割り切っても山本もマフィアの任務をこなしているのだが、今日はいつもとの様子が違う







「うん・・・」





「何か、あったのか?」





「なにも・・・・」




「ウソだな、お前はウソつくときは目を逸らすんだ」




「武にはバレバレか」




「お前のクセを教えてくれたのは、チビなんだけどな

 で?何があった。話してみろよ」







差し出した傘は相変わらず受け取ろうとはせずに

雨に打たれたままが語りだす







「今日、任務先でね言われたの

 『俺達はお前らを許さない、恨み続けてやる。お前に掛かった血は一生拭い落とす事は出来ない』って

 
 そんなの言われなくても分かってるって思ったんだけど、やっぱ実際言われるとちょっとキツかった」





言いながらは困ったように笑う

山本はそんなから視線を逸らさずに見つめ続ける






「調度良く雨が降ってたから、任務で付いちゃった血を流してもらおうと思ったんだけど・・・
 やっぱりダメだね、落ちないや」









山本に視線を向けながら黒いスーツのあちこちに点在する赤黒いシミを指差す

数秒の後悲しげに笑うを見つめながら、山本が口を開いた








「なぁ、

 オレがボンゴレの雨の守護者だって知ってるよな?」





「へ?知ってるよ

 私だってボンゴレの幹部なんだから」





「じゃあ、雨の守護者の使命って知ってるか?」





「え?」





分からない、といったような顔をするに苦笑しながら、山本は答える






「全てを洗い流す、清算の雨」






「?それがどう―――!?」






それがどうしたの?と聞こうとしたの言葉は、山本に突然抱きしめられた事で消える

なぜ、抱きしめられたのか分からないのと、突然抱きしめられ赤くなってしまった顔で山本を見上げる

ぶつかり合った視線の先には、いつになく真剣な目でを見下ろしている山本の顔があった






「オレが、流してやる」





「!?」





「お前に掛かった血なんて、オレが流してやる

 だから―――一人で泣くな」







オレは雨の守護者だから。

お前に掛かった血なんて俺が全て洗い流してやる。清算してやる


そう言った山本の言葉に、の頬から一筋涙が零れた




堰を切ったように流れ出す彼女の涙を、雨の守護者は抱きしめたまま受け止めた









―――オレがお前の雨の守護者にもなってやる

 オレがお前の雨も洗い流してやるから






(だから一人で泣かないで)






 

 




意味分からん

最近雨降ってたから書いてみたくなっただけなんです

スミマセン。