任務に失敗した




そんなに、何度も言わなくても分かってるわよ




だって、失敗したのは私なんだから








失敗した、失敗したって、ヴァリアーの恥さらしなこと何度も言わないでくれる?



私じゃなくて、ヴァリアーの評判が落ちるのは、嫌なのよ



ヴァリアーの評判が落ちるって言う事は、ボスである彼の尊厳も落ちるということでしょう?










そう思いながら、右腕の傷がじゅくじゅくと包帯の下でうずく




私の血で紅く染まった包帯が、任務の失敗という事実を私に突きつけるように映える




あまりの不甲斐なさに唇をかみ締めていると、ふいに我がヴァリアーのボス、ザンザスの顔が脳裏を過ぎった





私の任務失敗の知らせを聞いたときの、彼の顔が眼に浮かぶ





彼のことだから、呆れ顔で私を見るのでしょうね





殺されたっておかしくない





だって、ヴァリアーに弱者は必要ないから




ヴァリアーにいるのは、強さ




常人には到底不可能な技術力




任務は完璧に全うする、その実行力





それが出来ない人間は―――不要






そこまで思い至って、私は唇を弧の形に歪める





そう、ヴァリアーは常勝




勝ってこそ、完璧である事こそヴァリアー






私今まで寝ていたベッドから静かに起き上がると、腕に刺さった点滴のチューブを引き抜き



ベッドサイドに掛かっていたスーツに袖を通し、愛銃を手に取る






傷の痛みは濁流のように襲ってくるが、そんなことはもうどうでもいい





私はヴァリアー




それだけに動かされる









ザンザス、待ってて





貴方には任務成功の言葉だけを届けるから





だから、それまで貴方に会うことは我慢する







欲しがりません、勝つまでは



(帰ってこれたら、貴方を頂戴)


(ボス、あの子・・・病院から抜け出したって)
(・・・んのカスっ・・・!!)