イヤアアアアアア!!!!!


「なんだぁ?!」


「どうしたの!?」


「うるせぇぞ」




夜中だというのにの悲鳴を聞きつけた面々は、律儀にも全員がの部屋の前に集まった

顔面パック中だったルッスーリアの顔を見て悲鳴を上げたスクアーロが

ザンザスに蹴り飛ばされて悲鳴を上げた事は、この際割愛させていただく



愉快なヴァリアー幹部は部屋の前に顔を覆ってうずくまるの周りに集まると、囲うようにしての様子を窺った

はゆっくりと顔を上げると、正面にいた顔面パック中のルッスーリアにしがみつく

そのルッスーリアの隣にいたスクアーロがさり気なくショックを受けていたことも、割愛させていただく




「どうしたのよ、

 何があったの?」


「や・・・奴が・・・

 奴が出たんです!!」




今にも泣き出しそうな顔で必死に訴える

そして皆の顔が一斉にレヴィに向く





ぬ?


てめぇかぁ!!


何のことだ


黙れカス!


ボ、ボス!!なんのことだかさっぱrぎゃああああ!!!!


「いや、レヴィじゃないですよ!」



が反論する間もなく、レヴィへのリンチが決行されレヴィ臨終

は「レヴィ、ごめんなさい」と小さく詫びると大きく深呼吸してから言った




ゴ・・・ゴキブリが出たんですよ!!


「「「
はぁ?」」」




のセリフに皆が間の抜けた声を上げた




「お前・・・ゴキブリぐらいでなぁ・・・」


ぐぐぐぐらいってなんですか!!

 怖いんだよ!!すっごく!」




呆れるスクアーロのセリフには目に涙をためながら必死に訴える

黒光するあのボディが高速で動くさまは、まぁ恐怖の対象になりうるであろうが

拷問を生業とする彼女がまさかゴキブリでここまで恐怖するとは、分からないものである




「まぁ、気持ちは分かるわ

 じゃ、スクアーロちゃっちゃと殺ってきてあげなさいよ」



「あ゛ぁ?!なんでオレなんだぁ!?」



「だって、王子ゴキブリとか殺すのイヤだし

 
とっとと行ってこいよヘタレ



てめぇ、後で覚えとけよぉ




言いながらの部屋にスクアーロが単身乗り込んだ

乗り込んだスクアーロの怒声が数分響いたのち、ひょっこりと部屋からスクアーロが顔を出す




「終わったぞぉ」


「も、もういませんか!?」


「だから殺ったって言ってんだろうがぁ」


「よ、よかったぁ・・・」



がほっと安堵した声を漏らす

それを見てルッスーリアがパックした顔を柔らかく笑みの形に歪めるとに「よかったわね」と言う





「じゃあ、オレ達は寝るわー

 なんかあったら今度は王子だけ呼ぶといいよ」


「ベルちゃんなんかのトコに行かせられないわよ」


「ししし♪」




皆は口々にそう言い残すと、ぞろぞろとの部屋を後にする

未だ部屋に入ることを躊躇うは、恐る恐る扉を開けては閉めるという無駄な作業を繰り返していた




「う゛お゛ぉい、入らねぇのかぁ?」


「!ス、スクアーロ!

 まだいたんですか?」



お前それちょっと酷ェぞぉ・・・



「あ、ごめんなさい・・・

 それはそうとあの・・・お願いがあるんですけど・・・」



「!なんだぁ?」




からのお願いというのにスクアーロは若干ニヤケそうになるのを堪えながら、じっとの隻眼を見つめながら返す

は言いづらそうにスクアーロから視線を逸らしながら言った




「あの・・・一緒にいてください・・・!!」



「・・・なっ、え、あ゛ぁ?!」



「その、あの・・・!ひ、独りでいるのが寂しいんです!」



「お前・・・普通にそれ嘘だろぉ」



う゛っ・・・



一瞬で嘘をスクアーロに看破されて、は一瞬たじろぐ

部屋に戻るに戻れないでもだもだしているを見てスクアーロは噴出した




「くっ・・・

 お前、バカだろぉ?」



「酷い・・・」



「まぁ、いいぜぇ

 付き合ってやる」



「ほ、ホントですか?!」



「う、おぅ!!」



パァッと笑顔を輝かせてが嬉しそうに言うと、その嬉しそうな顔に一瞬驚く

ここまで喜んでくれるならなどと思ったが一晩一緒に過ごすことを考え、スクアーロは自分の浅慮を呪ったのであった




今日だけは、一緒に




(すー・・・)
(・・・これも拷問かぁ・・・?)