俺が好きになったのは、あろうことかザンザスの女


正確に言ったら、がザンザスのヤローと付き合い始める以前から


俺はアイツが好きだった





大好きで、大好きで、一番愛おしくて





それでも俺はアイツに思いを伝える事が出来ず

いつの間にか、アイツは他の男のもんになっちまった

こんなに悔しい事ってあるか?(
そうそうあるもんじゃねぇなぁ




「どうしたの?スクアーロ

 ぼーっとして」






そう言いいながらアイツは、心配そうな顔で俺の顔を覗きこんでくる


手を伸ばせばスグに捕らえられる至近距離



その細い腕を掴んで、俺の腕の中に閉じ込めれば


お前は少しでも俺を見てくれんのかぁ?




ふと頭の中に浮かんだバカな考えを振り払いながら「何でもねぇ」と顔をから背けて素っ気無く返す


俺のそんな態度に、は「そっか」とどこか悲しげに笑って背を向けて去っていった





違う、違う、そうじゃねぇ




俺はお前にそんな顔をさせたい訳じゃねぇんだ





でも、お前が笑ったら



お前が俺に優しい言葉をかけたら



お前が俺に触れたら




俺は何をするか分からねぇ





狂おしい程に恋焦がれた女が目の前にいて、何もしねぇで理性を保てるほど俺は出来た人間じゃねぇんだ





他の男のモンになったと分かっていても



お前を傷つけたくない俺は、相当お前に惚れこんでるんだなぁ



情けねぇとは知りつつも、今日も俺はただアイツを目で追うだけなんだ








届かぬ想いと知りつつも


やっぱり俺はお前が好きなんだぁ