「ったく・・・なんなんだよあの女」






「ん?どうしたの隼人」







朝から不機嫌そうだった隼人は、昼休みになってからその機嫌の悪さをついに口に出す

先程まで隼人の近くに居たクラスメイトの女子を軽く睨みつけながら、隼人は席へと着いた

私は、隼人が機嫌悪そうに呟いたところを調度通りかかった為、軽く話を伺う


すると、隼人は面倒くさそうに一つ舌打ちすると、私に向かって語りだした






「・・・今朝から、オレの周りにちょろちょろ来るんだよ

 うっとうしいったらねぇぜ・・・」






「ふーん・・・」







それって、隼人のファンなんだからじゃ・・・と言おうとしたが

火に油を差すことになるかもしれないので止めた


そして、先程隼人が視線を向けていたクラスの女子へと視線を向けてあることに気がつく








「あー・・・

 そういうことね」







「?なにがそういうことなんだよ」








私の呟きに隼人がすかさず突っ込んでくる

私は、女子から隼人へと視線を移し人差し指を立てながら言う








「あの子さ、髪切ったんだよ」






「はぁ?」








私の発言に、心底意味が分からないというように隼人が素っ頓狂な声を上げた

私は内心ため息を付きつつも、そのまま続ける










「だーかーらー

 髪切ったんだってば。気づいてあげなよね」







「さっきから意味わかんねーよ

 髪切ったとかいちいち分かるわけねーだろうが」







「あー、ホント・・・隼人は女心が分かってないなぁ


 女の子は、気になってる人には自分の変化に気づいてもらいたいもんなんだよ」






「へー・・・」






「うあ、無関心」







気の無い返事を返す隼人に、呆れ気味でいると

じーっと隼人の目が私を捉えている


物凄い視線に思わずその場からの逃走を計っていると、隼人が口を開いた







「おい・・





「何?」





「・・・・その・・・やっぱお前も気になるもんなのか?そういうの」





「へ?気付いてほしいってやつ?」





「・・・おぅ」







どこかバツが悪そうに私を見ながら言う隼人に、若干吹き出しそうになるのを堪えながら私は続けた







「うーん・・・そうだね。私は別にそういうの気にするわけじゃないけど・・・


 気付いてくれたら、その分『あー、この人はちゃんと私を見てくれてたんだ』って思うかな」








「そ、そうか」








「なんでいきなり?」







「べ、別になんでもねーよ!」






僅かに顔を赤く染めながら叫ぶ隼人に、私はそれ以上の追求はせずに「ふーん」と言って隼人の席の前から去ろうとした






「おい、






すると、背後から隼人に呼び止められ再び隼人へと向き直る

何?と聞けば、隼人は私から視線を逸らしながら一言







「お前・・・髪切ったか?」







私は、隼人の言葉に驚いたものの、その後自分が出来うる最高の笑顔で微笑んだ




「うん。ありがとう」










気付いて欲しい、乙女心







(切ったのって1週間くらい前なんだけど?)

(・・・・・・・)






遺書

因みにツナと山本は、大して切っていないはずなのにすぐに気付きました

獄寺は一番最後です 笑