道具




月が映える夜。


美しい銀の光は、教団の薄暗い廊下をやわらかな明かりで照らし出している。





黒の教団のエクソシストであるアレンは、そんな廊下を目的もなく1人ぶらついていた。





「あれ・・・?」




道なりに廊下を歩いていると、人影が目に入り歩を止める。





さん?」




アレンが名を呼ぶと、柱に身を預けるようにして佇んでいた女性がぴくりと反応し、首だけを少しこちらに向けた。






「やぁ、アレン。どうしたんだ?こんな時間に」





「いえ・・・ちょっと寝付けなくて。さんこそ、どうしたんです?こんな時間に」





「私も、似たようなものだよ。ただちょっと考え事をね」





「考え事?」





「うん・・・考え事。
 
 私達はさ・・・神の道具なんだろうなって」




「神の・・・道具・・・?」





「神のために全てを、生ける武器として捧げる

 
 そのために、私達はいるんじゃないかって・・」




さん・・・・」





「神は、誰も救ってくれなかった・・・

 戦場で戦っているエクソシストも、探索部隊も・・・

 世界のために戦ったって神は何もしてくれない」




ぽつりぽつりと吐き出されるの言葉に、アレンの心がちくちくと痛む。






「これじゃあ・・・まるで神の玩具だ・・・」




最後の一言は、空に浮かんだ月を見据えながら。


その時のの瞳には、確かな憎悪が見て取れた。


神に対しての







月に照らされた彼女の横顔は、神秘的なまでに美しく


儚かった






「あ・・・悪かった、こんな話・・」


 


ふと我に返ったが、アレンに向かって謝罪の言葉を述べる



一つ一つの動作が、気になって



捕まえていないとどこかへ消えてしまいそうだと錯覚させる。



そんなことを考えると、不安になっての手を掴んで自分の胸に押し付けた。







「あ・・・アレン・・?」




「確かに・・・僕達は神の道具なのかもしれません・・・」




「え・・・?」




「でも・・・それでもいいから

 僕は、あなたを守りたいです」




「アレン・・・ありがとう・・・」












月の映える夜。



教団の廊下には、月の光が差し込み



その場に居る2人を祝福しているようだった。





 




あとがき(という名の謝罪)

 
相互記念夢を書きたいといったのは自分だというのに
サイト運営と学校生活の忙しさにかまけて
小説を書き上げるのが遅くなってしまった事を
深くお詫びいたします。
しかも、やっと書きあがったというのに
意味の解らないこの文章・・・
様、本当に申し訳ありません・・・
管理人ともどもダメなサイトですが
これからも宜しくお願いいたします。
それでは。


by くろごま