また一片 花びらが千切れる



風を止める力は ない








一色









「・・・っ先生!!隊長は・・・隊長は助かったんですか!?」






必死にすがり付いてくる探索部隊の男




この男も先程治療したのだが、患者数が多いため応急処置だけで済ませているのでまだ頬の腫れは引いていない。





その男の目を見、私はゆっくりと首を横に振った







その瞬間男の顔は絶望に歪む







「臓器が丸々、一つないんだ。それにココについた時にはもう息もなかった。
 出来るだけの事はしたが・・やはりダメだった」







「・・・隊長には・・・息子がいるんです・・・いつも楽しそうにその子の話をしていました・・
 
 どうか・・隊長を・・・」







言った事を理解しようとしないその男に私は少しイラっとする







「だから、ダメだったと言っている。もう、息はない。手の施しようもない」








「っ!!あんた・・・医者だろ!?だったら・・・」








「ふざけるな。医者が万能だとでも思っているのか?ましてや、ほかに患者がいるこの状態で

 助かる見込みのない人間を助けている時間は無い」








まだすがり付いてくる男を冷たく突き放し私はその場を去った

















「・・・ちっ・・」




誰もいない部屋の中で一人煙草をふかす




しかし、先程のコトを思い出し普段はうまいと感じるソレもそう感じなくなり




それを手すりで押しつぶし、火を消す。







「隠れてコソコソ何やってんだ」







「あ、バレてたかい?」






「当たり前だ」







私が呼ぶと、コムイは扉の影から身をあらわし、私のそばまで歩いてきた









「随分と機嫌が悪いみたいだね」






「あぁ・・・さっきちょっとな・・・」






「また・・・助けられなかったかい?」






「あぁ・・・」






「そう・・・」






「どいつもコイツも・・虫唾が走る。医者は万能だと、本気で思ってんのか知らねぇが

 ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ喚くだけで、後は人任せだ・・・
 
 ホント・・イヤになる」







そういって髪をくしゃとかき上げる









「なぁ・・・コムイ・・」






「なんだい?」






「戦争なんて・・・虚しいだけだな・・」






「あぁ・・そうだね・・」