「どーいうことかなぁ?ユウ」
今だ傷の治らない神田の横で、粉々になった六幻を見つめ怒りを露にする
神田はと、いうと冷や汗たらたらでいつもの威勢はどこへやら、といった感じで珍しくおどおどしていた。
「コレは・・・」
「どういうことかな?ユウ
しっかりばっちり説明して、納得がいくように」
ずいっと至近距離にまでの全開の笑顔が迫るが、目が、目が笑っていない
射殺されそうなの視線から必死に逃げ、ようやく神田は言葉を口にする
「ノアとの戦いでだな・・・」
「そう・・ノアとの戦いで・・・
そのノア連れてきなさい、私が殺してやるわ」
「俺が倒した」
「六幻を犠牲にね。
大丈夫、もう一度殺してやるから連れてきなさい」
んな無茶な
と、神田は心の中で突っ込んだが、今の彼女にそんなコトを言ったら今現在ボロボロな体に止めを刺されるかもしれない
そう考えた神田は、ツッコミをぐっと喉の奥へと押し込んだ
「はぁー・・・なんでこんなに粉々にしちゃうかなぁ・・もう・・・」
ため息を付きつつ、粉々になった六幻の欠片を拾い上げ見つめる
「あの神田の戦闘スタイルに合わせて完璧に設計された美しいフォルム
無駄の無いシンプルなデザインに戦闘中邪魔にならないように仕上げられた柄の装飾・・・・
どれをとっても最高傑作だったのにっ・・・!!」
欠片を握り締めつつ力説する
そう、彼女の職業は武器チューナー
イノセンスからその人物に最も適した形に武器を形成するのが彼女の仕事なのだ
職業柄からか、自らが作り上げた武器への愛は凄まじく
任務から命からがら帰還してきたエクソシストにも武器を壊されたと聞けば、全力で傷を抉るような愛の持ちようだ
もちろん、恋人同士という神田にも容赦は無い
バラバラになった六幻を見た瞬間病み上がりの神田にキツイ一撃をお見舞いした
「もう・・・六幻今直してあげるからね・・・」
「俺のほうは当分治りそうに無いんだが・・・・」
欠片になった六幻にそう呟き、先刻ボディーブローを受けて地面に這い蹲る神田を華麗に無視する
ドアの前でふと思い出したように立ち止まると、くるりと神田に向かって一言
「あ、ユウケガしてたんだってね。お大事に」
ヒラヒラと手を振って部屋を後にするに、神田は「どうして俺はあんなヤツと付き合っているんだろう」と僅かな疑問を抱いた
彼女に聞けば間違いなくこう返ってくるだろう
彼氏よりも武器