「・・・何してらっしゃるんですか?幸村様」





「む!ではないか!
 
 調度良い。こちらに来て手伝ってくれ!」






ここは、真田幸村の統治する上田城。

本来なら、その荘厳な外観は石造りの城ならではの威厳を醸し出しているのだが・・・

その城の周囲には、どこから取ってきたのかも分からない今まで無かったはずの杉の木が突き立てられ

さらにその杉の木にはぐるぐると帯のような布のようなものが幾重にも巻かれている

杉の木の頂点には、真田家の象徴である六文銭の旗印が掲げられ、一体何の祭り事なのだろうかとの頭を悩ませた


疑問が募る一方なのだが、取り敢えずこの事態の当事者であろう幸村の元へとは歩み寄った





「よし!では、も頼むぞ!」



「・・・って、何をですか?」




近づいてみるや否や、幸村様は手に持った大量の布をぽんと私に手渡す

私にどうしろと


困惑する私に対し、幸村様は腕を組み胸を張って言う




「伊達殿から教えていただいた、”くりすます”と言う異国の祭りの飾り付けをしていてな

 皆にも手伝ってもらっているのだが、人手が足りぬのだ」




「はぁ」




それで、この不思議な飾り付けなのかと、は一人悟る

異国の祭りということで、この異様な光景はなんとか理解する事が出来たのだが

他にもいろいろと疑問は残っている。

彩は、さらなる質問を幸村にするべく口を開く





「それで、その”くりすます”というのはどのような祭りなのですか?」




「うむ。なんでも、一度死んだ者が蘇るのを祝う祭りらしい」




「は?死んだものが蘇るのを祝う祭りですか?

 ちょっ、即刻やめましょうよ幸村様!私、霊や物の怪の類は苦手なのです!!」




「お、落ち着け!・・おわっ!!






死んだ者が蘇るという言葉に、は大いに慌てて半泣きで幸村へと詰め寄る

のあまりの剣幕に押されて、幸村は後ろへと倒れこんだ

そんな幸村にも構わずには幸村の襟を掴んで上へと引き上げ、ずいっと顔を寄せる

その近さに、幸村は顔を真っ赤に染めながら大いに慌てた




「ちょ、ッ!!近い・・近いでござるっ!!
破廉恥でござるっ!!



破廉恥でもなんでもいいですから、即刻止めてくださいっ!!

 お願いします幸村様!!」




枕元に何か出たらどうするのです!!と、叫びながら終いには何かが出た時を思い浮かべたのか、啜り上げながら幸村の胸へと顔を埋めた

幸村は至近距離にがいるのと、己の胸に顔を埋められている事に微動だに出来ずに顔を真っ赤にさせながら、ぱくぱくと口を開閉させている





「ちょっとちょっと、旦那

 俺たちには仕事させておいて、自分はといちゃつくなんていい度胸じゃないのさ」




ざっ、と音を立てどこからか佐助が現れる

佐助はと幸村の様子に不満げに言葉を漏らした




「さ・・・佐助っ・・・!

 某は別にいちゃついてなど・・・!!

 というより、さ・・佐助・・」




「わ、旦那顔真っ赤。
 
 いいじゃん。旦那、嬉しいでしょ。に抱きついてもらって」




「そ、それはそうだが・・・

 このままでは・・・!!」




某の理性が持たん!と、声には出ていないが幸村の目が語る

佐助はそんな主君の様子にやれやれと首を振り、未だ幸村にしがみ付いているの肩をぽんぽんと叩いた



 



 どーしたのさ、旦那にしがみ付いちゃって

 旦那じゃなくって俺んとこおいでよ」




「こ、コラ佐助っ!!」





「さ、佐助さん!!

 大変なんです、
祭りが死人で”くりすます”が蘇るんですっ!!





言ってることごっちゃ。

 意味わかんないって」





いつになく慌てた様子で、意味深なことを叫ぶを宥めつつ

どんな説明したのさ?と、佐助は幸村に向かって問う

幸村が先ほどに説明したのと同じことを佐助に告げると、佐助ははぁ、と大きくため息を付いた





「旦那、説明足りなさすぎ!

 重要な事言ってないじゃん」




「む?そうだったか?」




「旦那最近物忘れ激しいよー

 俺たちの主君なんだからもっとしっかりしてよね!

 ほら、あの赤い服のってヤツだよ!」




「・・・赤い・・服?」





佐助の言葉に、今まで取り乱していたは若干落ち着きを取り戻したように佐助と幸村の顔を見上げる

幸村は、佐助の言葉で思い出したようで、ぽんと手の平を叩き頷いた






「おぉ!それのことか!

 そうだ!某は、それをやろうと今回の準備をしていたのであった!」





「ホント、しっかりしてよね・・・・」





!この”くりすます”という祭りは、当日

 
赤い服の老人が深夜部屋に訪れ物を残して去っていくというものらしいぞ!





「旦那、説明間違ってないけど
それただの不審者じゃない?





「物を残して・・・・?

 
義賊か何かの類なのですか?




何かそれも違う気がするんだけど





天然2人の物言いに佐助だけが一人頭を抱える

しかし、至って真顔の当人達は、そのまま佐助を置いて会話を進めた





「うむ。某はそう見ている

 その者が道に迷わずこの上田城にたどり着けるよう、異国同様に木に飾り付けをしてみたのだ」





「死者の蘇りを祝う為に飾り付けていたわけでは無かったんですね」






よかった、とは安心したように微笑んだ

しかし、なにか思い至ったようにはっとすると慌てて口を開く







「ゆ、幸村様!

 異国の義賊が、この上田城まで海を渡り来ることができるのですか!?」






「ぬぅ・・・確かにそうだな

 しかし、政宗殿が言うには、
鹿に似た動物に籠を引かせて空からやって来るらしいぞ!






「空からですか!?

 しかし、鹿のようなか弱い生き物に籠を引かせるなどとは、酷いことをするものです」






「うむ、確かにそうだな」






うんうん、との言葉に頷く幸村

止まらない2人のどこかズレた会話に、隣にいた佐助はしだいに頭痛を覚えるようになる






「誰かこの人達止めてよ・・」





佐助の小さな叫びは誰に届いたわけでもなく

余計な事を自らの主君に教えた政宗に対する憤りが、佐助の中にふつふつと募るのであった








異国文化フェスタ☆









遺書

あれ。やりたいほうだいやってオチがない・・・(死)

あらー、おっかしいなぁ・・・

最後は幸村とくっつけようとしたのに、何かぐだぐだに終わってしまった・・・;;

長い間小説かけていなかったからきっとブランク出来てしまったんだと思います・・・;;

大変だ、特訓せねば!!