っだっはぁ!!




「待ってください
癒してください!この魂の渇きを!!




イヤですよ!!

 光秀様と一緒にいると、私の魂が乾きます枯渇します
干からびます!




恥ずかしがらなくてもいいんですよ




「恥ずかしがってませんから、追いかけてこないで下さいーッ!!」






明智光秀の居城、坂本城

ここでは、毎日のようにこの追いかけっこが開催されている。

これを鬼ごっこに例えるのならば、光秀は当然の事ながら鬼に当る

そして、不運にも追いかけられているは「鬼に追いかけられる子」という立場なのだろうが

捕まればもれなく鬼の餌になるという嫌な得点つきだ

故には必死で逃げる

捕まればどのような目に会うかは、身をもって体験しているからだ






「おい、光秀!

 蘭丸が来てやったぞ!信長様がお呼びだ!!早く出てこいよ!

 って・・・うわっ!!!」




「蘭丸君!!助けてっ!!」





やってきた蘭丸の背後には素早く回りこむ

自分よりも背の小さい蘭丸の後ろにしゃがみ込み、光秀から身を隠す


しかし、そんなものスグに見破られるに決まっているので

光秀はなんの迷いも無く蘭丸の前まで歩を進めた





「蘭丸、そこをどいてを渡してください」




「はっ!なんで蘭丸がお前なんかの言う事を聞かなくちゃいけねーんだ!

 それに、嫌がってるじゃねーか!」




「お子様には分からないようですね

 それはイヤよイヤよも好きの内というやつです。
所謂照れ隠しです




違います!




光秀の言う事に単に従いたくなかっただけだろうが、自らを庇ってくれた蘭丸には感動していたが

次の瞬間に放たれた光秀の言葉に、間髪いれずにツッコミを入れる

光秀は、のツッコミは対して気に留めた様子も無かったが、いつまでもが蘭丸の背にしがみ付いているのが気に食わないらしく

眉を顰めながら蘭丸に言う




「蘭丸、何故貴方がここにいるんです?

 私との時間を邪魔しないで頂きたい」



「さっき言っただろ!信長様がお呼びだって!!」



「ほぅ、信長公が」





蘭丸の言葉を聞いて、小さく光秀が頷く。

未だ蘭丸の背にしがみ付き、光秀から距離をとっていたはその言葉を聞いて勢いよく立ち上がり、一気に捲し立てる





「ほ、ほら!!光秀様!

 信長公がお呼びですって!行きましょう、今すぐ行きましょう!とっとと行きましょう!!」




このまま光秀と一緒にいれば自分の身が危ない事は重々承知しているので蘭丸の手を引きながら光秀を促す。

その額には異様なほどの汗をびっしりとかいていた。

光秀は、そんなの様子にスッと目を細めると手を伸ばして蘭丸の腕を引いていたの手を掴んだ

そして、そのまま強く自分の方へと引き寄せる


一瞬で光秀に捕まってしまったは、サッと顔を青ざめさせた


そんなを気にした様子も無く、光秀はずるずるとの体を引きずり蘭丸に背を向ける




「お、おい!光秀!

 をどこに連れてく気なんだよ!つか信長様が呼んでるって言ってるだろ!!」



蘭丸は背を向けて去っていく光秀に、慌てたように言う

は蘭丸の声で、硬直していた意識が戻り手をバタつかせて抵抗した




「きゃーっ!!離してください!!

 ら、蘭丸君助けてっ!!!」




叫びながら手をバタつかせ、最後の抵抗を試みるだったが

続く光秀の視線と言葉についには完璧に体が硬直する



「蘭丸、邪魔しないで下さい。

 これから私は渇きを癒しますので、信長公には遅れるとお伝え下さい、では。


 ――、これ以上暴れれば手加減しませんよ」



鋭い光秀の視線に射竦められ、は大人しく光秀に引きずられていく

蘭丸は、連行されるの姿を呆然と眺めていた












 

 




「み、光秀様・・・!

 信長様がお呼びだったのではないのですか・・?」




恐る恐る、光秀に尋ねる

すると、光秀はを抱きしめながら言う




「貴女と私の時間以上に、優先させるべき事なんてありませんよ」




言いながら、肌触りのいいの髪の毛を手で梳く

が光秀の顔を見上げると、光秀は優しげな笑みを浮かべながら




「それでは、私の渇きを癒してもらうとしましょうか」




「え゛」




「癒してください、

 私を癒せるのは貴女だけなんですから」




私が愛しているのは、貴女だけなんですから



にっこりと微笑みながら、光秀は彩に口付けた





好きで好きで好きで好きで、ただただ、どうしようもない程好きだ。

(・・・こ・・腰が・・っ・・・!!)(おやおや、大丈夫ですか)(心配してくださるのなら、もうしないで下さいっ・・・!!)
(それは、無理ですね)(・・・即答ですか・・・)













おまけ






「信長様っ!光秀が・・・!!」



「何・・・!?

 あのうつけが!!濃!今すぐ、光秀をここへ連れて来い!」



「はっ」




「信長様!蘭丸も行って参ります!」




「・・・いや、丸

 お前はココで待っていろ」




「??何故です?信長様?」




「大丈夫だから、大人しく待っていて頂戴ね、蘭丸君」




「???」












あとがき

光秀さん、好きなんですがどうにも光秀さんらしく書けない・・・!!

事件ですお母さん。(何

なんだかんだで、優しい信長公は素敵だと思います。

さすが第六天魔王 (ぇ)

文末提供 Butterfly&Frog様