目の前に横たわるは、主君だった男の体

魔王、と呼ばれていた割りに、随分と呆気ない幕引きでしたねぇ、信長公


本能寺には火が放たれ、熱い空気がちりちりと頬を焦がす

熱気に当てられ纏わり付く灼熱の空気


それすらも心地良い

成し遂げた後の高揚感


漂う血の香り

横たわる死体の数々

私の武器から滴る血液



あぁ・・・いいっ!

素晴しいですよ!

全てが私の気分を高揚させる、楽しませる、喜ばせる!!



咽かえるような鉄の臭いが満ちたこの場所で、男は業火に包まれながら狂的に笑う







「光秀・・様・・・!?

 いったいこれはっ・・・!!」





光秀の笑い声だけが響くこの空間に、割り入るように唐突に聞こえてきた女の声


光秀は首だけを後ろに向けると、声の主を視界に入れる



着物は所々切れ、女の白い肌に幾つもの赤い筋を覗かせていて

そのか細い手に握られた薙刀には、だれのものとも知れぬ血液が滴っていた



美しい


狂った思考回路の中、光秀はそう思った

そしてこうも思った



斬りたい、と

切に




この女は前々から見知っている

戦のたびに狩り出され、敵軍の血でその白い肌を真紅に染めて戻って来たのは記憶に新しい


戦場では無常に敵を切り裂き、迷うことなく手を血で染める女の姿に

いつしか恋慕の情を抱くようになっていた



しかし、戦で非情な女の笑顔が、私に向けられる事はなく

何度、苦しい思いを抱いた事か

どれだけ、貴女を手に入れられたらと思ったことか


幾度、貴女をこの手で血に染めたいと思ったことか



思いだけが積み重なり、報われない思いは、いつしか狂った想いへと昇華を遂げる



そして、幾度と無く思い描いたその思想を実現させるべく

この狂った場で、狂的な笑顔を浮かべ、狂宴を始めるべく光秀は口を開いた






、私に貴女を斬らせて下さい」




狂宴ニルバーナ
(素敵な血化粧をして差し上げますよ)(これが、私の貴女への愛の形なんです)

 

 

 

 


遺書

初BASARA夢が光秀さん。
いや、好きですよ、大好きなんですよ彼のことがっ!! (落ち着け)

でもなんだか私の中の光秀さんはこんな感じ ぇ
爽やかなみっちーなんて書けないわっ!! (オイ)