・・・君はいつも落ち着きが足りないね」


「はい・・・重々承知しております・・・

 申し訳ございません、半兵衛様・・・」





責めるような半兵衛の声色に、小さな体をさらに小さくして頭を垂れる

のその様子に半兵衛は小さく嘆息しながら、の怪我した腕に包帯を巻きつけてゆく







「・・っ痛ッ・・!!」


「はぁ・・・これくらい我慢して」





腕に巻かれた包帯は、未だから流れ出る血により徐々に紅く染まる

痛みに顔を顰める彼女の顔を見ると、怪我をしていない自分もなぜか痛みを感じるのを半兵衛は表情に出すことなく

ただ静かに感じ取っていた




がケガをした事の起こりは今より半刻程前

練兵場でが1人稽古に勤しんでいた時まで遡る








は自らの武器である、小さな体には不釣合いな程大きな刀を振り回し

敵の形に見立てた藁を次々と切り倒していた


刃の煌きと共に両断される藁の切り口はキレイに切り揃い

周囲を囲む形で設置された藁が全て狂いなく一瞬で見立てられた首を落としているあたりからして、の実力が窺える



その鍛錬の様子を、1人壁に寄りかかり見守っていた半兵衛は予想外の腕前に関心を露にしていた

幾度もあった戦場で敵将を討ち取ってきていたので、それなりの実力があるのは知っていたが、此れ程までとは

最も、半兵衛がと戦場を共にする事が無かったため実力を窺う機会が無かっただけなのだが




「あっ、半兵衛様!」




の鍛錬を静かに見守っていた半兵衛だが、背後の藁を切りつけようと振り返ったと目が合う

はすぐさま剣を振るう腕を止め、半兵衛の名を叫んだ

その時




「危ないっ!」




「へ?」




半兵衛が叫んだ時には時既に遅く、不自然な形で止められていたの刀がその腕に切り込む

徐々に腕から赤い血が滲み出し、は乾いた笑い声を上げ、半兵衛は呆れたようなため息をもらし

そして、今に至る訳である




時折腕の痛みに顔を顰めつつも、の口からは相変わらず乾いた笑い声が溢れる

半兵衛も半兵衛で、慎重にの腕に包帯を巻きながら、呆れたようなため息を隠すことなくついた






「終わったよ」



「わぁ・・ありがとうございます!半兵衛様!」






にっこりと笑顔を浮かべて、半兵衛に向かって礼を述べる

そんなの笑顔に、半兵衛は一瞬胸が高鳴るのを感じた

しかし、やはりそれを表情に出す事はせずにに向かって釘を刺す






「君にはいつも落ち着きが足りないよ

 そんなんじゃ、いつ戦場で命を落としてもおかしくない」




「ううっ・・・

 ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした・・・」




「はぁ・・・これからは気をつけて」





しゅん、となて頭垂れて謝るに幾度目になるか分からないため息を付きその場を去ろうとすると

先程まで頭垂れて下を向いていたはずのの顔は上を向き、目はしっかりと半兵衛の顔を捉えていた

の大きな瞳に捕らえられ、半兵衛が視線を逸らす事が出来ないでいると

はにっこりと笑顔になって半兵衛に向かって言った




「半兵衛様は、いつも冷静でスゴイです!

 私も半兵衛様のようになれるよう頑張りますね!」




と、満面の笑みで言われ半兵衛は先程感じた胸の高鳴りを先程より大きくはっきりと感じ取っていた




あぁ、そうか

さっきがケガをした時に慌てたのも

わざわざ自分で手当てをしてやったのも

きっと僕がをいつの間にか好きになっていたからなのかもしれない


それで、この胸の高鳴りにも説明が付く


頭ではそう冷静に考えながらも、気付いてしまったこの感情に半兵衛の心臓は先程よりも早く、早鐘のように脈打ち始める




僕が冷静?

どうやら君の前ではもう、そうはなれないかもしれない





だって、この想いに気付いてしまったから

(半兵衛様?)(いや・・・なんでもない)














遺書

あれ?これって半兵衛様?

ちょっとどころか激しく不安・・

だってまだ彼のストーリーやってないんだもの!

でもなんだかキャラがちょっとごまの好みだったから、気持ちだけ先走ってしまった!! (オイ)

ううっ・・じっくりじわじわ半兵衛を攻略していこうと思います

待ってて半兵衛!! (半兵衛に迷惑だから)